« TOP&NEWS!!【2017 December】 | トップページ | Top&News 2018 Jan »

2017年12月11日 (月)

終身編集者

今日、神楽坂ぷらり中に少し凹むことあったので、神楽坂にできたというMojo Coffeeで甘いドーナツを食べ、赤城神社のお稲荷さんをお参りして気持ちを切り替えた。

初めてモジョコーヒーのある通りを歩いて「あれ? この道ってまだ神楽坂を何も知らないときにデビュー作のスチール写真撮ったあたりだ」と気づき、
帰りに、いつもは通り過ぎる新潮社前で、
ふとノーリー先生(わたしの担当編集者)の顔を思い出し電話してみると、なんと電話が繋がった。
「なにやら神楽坂界隈でのモカコさん目撃情報はチラホラありますが…お元気ですか 笑」

ノーリーに「かぐらむら」での連載が始まったので冊子を渡したい旨を告げると、手が空いていたみたいで、すぐ一階に降りて来てくれた。

ノーリー先生もそうだし、壺井さん(幻冬舎)もそうなんだけど、2人とも目の前に文章を差し出すと、挨拶もそこそこにそれを読み耽ってくれる。その瞬間、わたしはそれがすごく嬉しい。


(かぐらむら、を読むノーリー by盗撮モカコ)

10分ほど雑談してるとノーリー先生が「何か欲しい本ある?」
(なんですって!?)

普段新潮社に何も貢献してないから、欲しい本があるときだけ電話をかけるわけにもいかず、騎士団長殺し他、新潮社刊のもあたりまえだが、購入している。
(基本的に本というのは自分の本ですら謹呈できる量が決まっていて、それを超えたら自分で自分の本を買うのです。結構厳密なのですよ。つまり誰かの=編集者の実費になる恐れがあるので、おいそれと本が欲しいと出版社には絶対言わないようにしています)

恐る恐る「"文豪とアルケミスト"が欲しいのですとても……」
と伝えると、その本と一緒に、ノーリー先生が編集された本を2冊下さった。

1冊は5センチもある樋口さんの新刊で、
もう1冊は、コレ、アメトークで紹介されてたやつじゃないですか!!!
おまけに神楽坂ブック倶楽部の文芸地図も頂いた。

「文豪とアルケミスト」の編集者さんは、かぐらむらでわたしが連載を始めたことをご存知でいてくれたらしい。
そして、前にSTOCKでお会いした編集者さんがたまたま一階に降りていらしてご挨拶もできた。

「ありがとう、読みます」

そういうと、ノーリーは、

「うん、でもね、読むより前に、とにかく書くこと」と、
ノーリーらしいことを言っていた。

「こんな近所にいて、原稿も未だ持ってきてないのに、ぷらぷら散歩帰りに寄ってすいません」と言って、
こういう感じだから、すごい心臓してるね、と知人に言われた話をすると、

「それくらいのがいいんだよ」とノーリー先生は笑って言った。

わたしは江國香織さんに選んで頂いたが、
新潮社内のプレゼンで、ノーリーがわたしを強く推してくれたことも受賞できた理由の1つである。

最終選考に4作が残ったときに、その4つを別々の編集者が推して、受賞したら、その人がその作家の編集者になる。
だから、わたしが受賞して、推薦者のノーリーはわたしの担当になった。
終身編集者である。
新潮社はわたしのデビュー版元なので、
デビューしたとき、ノーリーは、生涯君を担当する、と言った。デビューさせるということにはそれだけの責任があるのだと彼は言った。

終身編集者は放置プレイである。
優しいようで、すごくシビアなんだとわたしは思っている。急かされて書いてるようなものを、彼は認めない、みたいな感じなのだと思う。なぜこちらがやる気を起こさせなくてはいけない? 書きたい人はいっぱいいるのに。なぜ売れる気がない人のお尻を叩いて売らなくてはいけない? 他にも担当したい作家はたくさんいるのに。そんな感じなんだと思う。

その代わり、わたしの中かられっきとして発動した物語であれば、他社で書いても、良かったら評価してくれるし、わたしの社会的立場とか旬とか彼は気にしない。わたしのことを相対的なもので見ていない。モカコさん、という絶対的な何かで見ていて、
だからいつも「とにかく書くこと」と彼は言う。まさに離れているけど家族みたいな感じだ。

「評伝より小説を書けと思うかもしれませんが…」と「かぐらむら」を渡すときにノーリーに言ったら、ノーリーは、「いや、こういうものから小説に繋がっていくってことがおおいにあるし、とてもいいことだと思う」と即答した。

社会的立場とか、色んなこと度外して言うと、そのとき、久しぶりにまたこの人と本が作れて、ここから出たらいいな、という気持ちが大きく湧き上がった。

書きたい話が3つある。
ただいまその1つ目を執筆中。
夜のバイトをしながら、長編を書き上げるのになかなか苦戦しているけれど、3つのうちの2つは来年必ずやりとげよう、そう思った。

2つを来年やりとげられたら、
3つめにあたる「船パリ🚢」にまたとりかかれる土俵ができるはず。同時に「かぐらむら」で時雨さんの評伝を書き進めて行けば、それは、同じ時代をモデルにしている時代小説 船パリにとっても大きなヒントが得られるかもしれない。
たしかに、評伝という小さな川(文字数の話ね)の向こうに物語の海はあるのかも。

デビュー以降、大手出版社に恵まれているのに、ちんたらしてやる気がないように見えているかもしれないのだけどそうではない。小説に関してだけは、自分は妥協できない。だからライトノベルのスピードにはついていけなかった。(なんとか本にはなったけれど)だから時雨さんがいつも言っていたように、ちゃんとお腹が出来て、そこから生まれてくるものを待ちたいと思っている。
その分だけ時代に置いて行かれてる覚悟はしているし、出版社によっては今頃遅いよって感じになって出版されないかもと思っているし、本屋さんには今、わたしの本はもう置かれていない。それでもいい。大事な本を大事に書き上げたいのだ。
けれども応援してくれている人たちの中にはわたしの書いたものを心待ちにしてくれている人もいるので「時雨美人伝」という連載が始まったことや、地元の本屋さんがわたしのコーナーを作ってくれていることには、
心から感謝している。「かぐらむら」は薄い冊子で神楽坂の情報も詰まっているから、銀座のお客様にもお渡ししやすくて助かるし、「がんこ堂」を通じて地元守山の人にも読んでもらえるといいなと思う。

嫌なことあって凹んでいたけど、
凹んだおかげで、ノーリーに会えた、うれしい。

|

« TOP&NEWS!!【2017 December】 | トップページ | Top&News 2018 Jan »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« TOP&NEWS!!【2017 December】 | トップページ | Top&News 2018 Jan »