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2015年3月31日 (火)

ソメイヨシノ

竜之介と初めて会った、会わされたのは美術館だった、それを取り計らったのは芳本かをり(よしもとかをり)、実環子の高校と、駅と、その場所を結ぶとちょうど三角形になる、つまり学校帰りに寄るにはしばし不便な位置にある画材屋の店員である。漆黒の髪が背中の真ん中あたりまであり、前髪はまっすぐ切りそろえられ、肌は、向こう側が透けて見えそうに白く、白雪姫に似ていた。年齢はよくわからなかった。
見た目は十六くらいに見えたが、話すと二十五くらいにも思えた。その白い肌によく合う、さくらんぼ色の唇をしているのに(一度すっぴんを見たときはそうだった)なぜか、いつも必ず、コンシーラーのようなベージュの口紅で元来の赤みを抑えた上に強いオレンジ系のグロスを重ね、四時頃の夕日のような口をしていた。その唇を震わせ「いらっしゃいませ」と小さく言った。実環子にはその顔と唇はたいそうちぐはぐに映ったが、宇宙は芳本かをりの唇を気に入っていた。
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本日facebookが気を利かせて「去年の3月31日のあなたの投稿を振り返ってみましょう」とこの記事を教えてくれました☆
なんだかほんとに驚いた。
「そうだった、その季節ですよね」
わたしはfacebookに向かって答える。
春が来ると春の歌を歌うように、桜の咲く季節に毎年お知らせできる短篇があること、これを書いて7度目の春でもなんだか新鮮に感動しました。
昨夜、UAEそして日本の詩人たちは、桜の下で詩を吟じました。
とっさに吟じれる詩を、わたしは持っていないけれど、自分にもそういえば定番の物語があったのだ。
「ソメイヨシノ」はわたしがとても気に入っている春と色をめぐる短篇です。この季節を愛でながらどうぞ。
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