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2013年3月15日 (金)

リリパットアーミーの奇縁

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銀座の、しかも並木通りの花屋さんの手は早い。とても早い。
きっと慌ただしくバタバタと花を買っていく人がとても多いからだ。
ここの花たちも、この近くの夜のお店の姐さまよろしく、お化粧してバタバタと出て行ったり、
かと思えば引き取られてきたらしくぐったりと休んでいるコもいたりして、
それらもまた瞬く間にアレンジして「ちょっとあのテーブル」という感じに出払っていく。

青山あたりの、焦れるくらいに時間をかけて包装される花たちと、並木通りのこの子たちは用途が違うのだな、まさにこの子たちの役割は「花」ではなく「華」なのだなと、すこし哀しく思いながらも、いつも待ち合わせに遅刻ぎみのわたしは、店員さんの魔法のように早いアレンジと、並行してお会計してくれるバイトの男の子に、物理的には助けられながらも、
「こんどはゆっくりきますね
と言わずにはいられなかった。

久しぶりの銀座。「蝶番」を読んでくれたお方はご存じ、「いまかつて」も読んでくださった方はもっとご存じ、シノなきシノくんのお店に向かうため。

だいちゃんと絶縁してからはいくとしても年に1回、しかも2009年からは新しくできた4階の方にいくことが多かったわたしですが、何年ぶりだろう、蝶番に出てくる、地下の方のマダムシュリンプに伺った。ママの計らいで、授賞式の日ドタキャンしただいちゃんに代わって出席してくれた田村さんと4年ぶりに会った。

マダムシュリンプは不思議なお店で、銀座なのに夜っぽいスタッフがいない。
かといって場末っぽい感じではなく、品はあるのに、純粋にその空間を温かくし、お客様に楽しんでもらおうというわりと素朴な心のスタッフばかりで、だいちゃんがいなくなってもその空気感は変わらず、これはパパとママが培ってきた雰囲気なのだなあと改めて思う。
銀座に行かなくなって、わたしは新宿2丁目を通過して四谷によく行くようになった。

「チーム四谷」の、勢いというかある種の猛々しさはわたしはとても好き。
でも銀座なのになぜ?というようなマダムシュリンプの温和な雰囲気もわたしはとても好き。

新しい店長はだいちゃんではないのだけどすこしだいちゃんに似ていた。
だいちゃんは飲食のセンスがすごくあるひとだった。やわらかくて、相手の空気を読むのが上手で、ちょっとプン!てなった人を笑わせることがすごく上手だった。
嘘を絶対つかないひとだった。
嘘をつくときは、「俺は嘘をついている!」と誰にもわかるように嘘をついた。
けれどだいちゃんからの電話を全部いま、わたしは無視している(笑
だいちゃんがソムリエ持っていたこと、わたしは去年初めて知った。
5年も恋愛してたのに知らないことはあるのダ!

男と切れたら、その男と繋がっていたすべての縁をきる女は多い。
そうした方がいいこともあるのだと思う。
でもわたしはマダムシュリンプを切ることができない。
温かいひとたちがたくさんいるからだ。
かといって前みたいに通ったりしない。
だからこれでいいと思う。

ひっさしぶりに地下のカウンターに座ったら、今はもう遠い過去になっている、
蝶番に書いたあの頃のことがいろいろ思い出されてきて、ママとも「懐かしいね」なんて話したりして、ああなんか、たまには原点に戻ってみることもいいなと思った。

パソコンのタイムマシーンのように、出会いの前に戻ってみる。
このひとに出会うまえのわたし。このひとに出会うまえのわたし。
そういう巻き戻り方をすると、人は出会いによって進む生き物なのだと思い知る。
時間ではなく出会いが人を進めるのだ。

このカウンターでわたしは、2コマくらい戻ってゆく。
おお。なかなかいいね。

同時に、今日なんでここにわたしは招かれたのかななんてことを考えたら答えが急に降ってきた。

先月「あなたが劇団をしたらそれはリリパットアーミーみたいになる」と、
予言のようなことを言われて初めて知ったリリパットアーミー。
15年演劇をしてきて、その名をわたしは知らなかった。
なのにその数週間後、妹のみいきから、
「リリパットアーミーって知ってる? それなんかもかちゃん参考になるかも。みてみて」
っていきなり言われてエエッ!!今なんて言った!?ってなって、
うわーなんかこのシンクロなんなん!?ってなっていたところに。

リリパットアーミーの奇縁はまだあった。
マダムシュリンプのカウンターの向こうに。

バーテンの彼が、元リリパットアーミーの劇団員だという事実を聞いて。
わたしは飛び上がったよね。笑

これがまだ今旬な、五反田団とか、鉄割だとか、そういうのだったらわかるの。

すこし昔のあれだからさ。
思わず聞いてしまったよ。
『わかぎゑふさんとわたし、似てる? 似てない?』

彼はこう答えた。
『大変あの…あれなのですが…似てます』

わたしの、手振りのきつい話し方、とくにその手振りが似ているのだそうで。

そしてその人に教えてもらったのだけど、リリパットアーミーの次回公演が、
なんとわたしが引っ越す来週20日から行われるのだそうだ。
なんだこれ、出来すぎじゃね?笑

ともかく観てみようと思う。

帰りに12周年記念にワインもらいました。
いつもはグラスだった。
だいちゃんを好きだったころ、別に一緒に住んでるわけじゃないのだけど、
ペアグラス貰えるの嬉しくて、いつも大事に使っていたのに、
なぜかいつも片方だけ割れて、それがいつもうまくいってないときで、
「あーやっぱわたしらそういうかんじか」と思っていたこととか懐かしく思い出しました。
新しく4階にもお店が出来るのすっごく楽しみにしてたのに、直前に別れて、
もうあそこに新しい歴史を刻むことはできないんでぃっ!みんなが変わってわたしだけが置いて行かれるんでいぃ!と、泣いたのも今は昔。笑。

リリパットアーミーの奇縁にいざなわれて、わたしは出会いの前の前へ戻ってみた。
そして出会いと出会いを乗り越えて得た傷と愛しさを、

まだ出会う前の誰かへの祈りに変えよう。

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