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2012年12月 5日 (水)

勘三郎さん逝く

Nakamura200811

勘三郎さんが逝ってしまった。途端に2009年を思い出す。神様が清志郎もマイケルも連れて行ってしまったあの日。
勘三郎さんの歌舞伎を理解できなかった10代のわたしがいて。
勘三郎さんの芝居に惚れた20代の私がいて。
勘三郎さんの歌舞伎に、心底惚れた、今年の春のわたしがいる。

蜷川演出ばりに舞台の奥が開いて、奥にはスカイツリーと本物の桜吹雪。
そこで凄まじい立ち回りをみせる勘三郎さんは、ゾッとするほどに美しくて、
この世のものとは思えないほどに光を放っていて。
ああどうか60歳の勘三郎さんも、70歳の勘三郎さんも、わたしたち、見せて頂いてもいいですかと、心で神様にお願いした、ほんの矢先の出来事だった。

タクシーの運ちゃんにたまらず「辛いんです」と言った。
タクシーの運ちゃんはこういった、
「あなたにとって勘三郎さんは、けして縁のない人では無かったんですね」
ーこうして思い出を遺してくれたんですから。

その言葉が胸に染みてわたしは泣き出してしまっていた。1070円を払いながら。
そうだ遺してくれたんだよ勘三郎さんは。
わたしが親友と、そして親友とともに追いかけた串田さんと一緒に、
「あなたの最後の演技を見届けた」という思い出を。その千秋楽に立ち会えた思い出を。

2012年平成中村座 法界坊再演。中村勘九郎、遺作にてその最後の大立ち回りを、
隅田川に散る桜吹雪とともに、わたしたち熊田千穗、杉田昭子は、それをれっきと見届け心に刻みたる。あなたの最後の、大芝居を、その細かな息づかいまでも忘れないほどに。

2012.12.5 中村勘三郎 永眠。

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