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2012年1月 9日 (月)

【かぎりなく完成に近い執筆メモ/JUNE】

ヘルシンキからのブログ更新を楽しみにしてくれている人ごめんなさい。
ここ2日執筆に傾いてずっとホテルにいます。一昨日街にでた写真もたくさん載せたいのだけどすこし待ってください。けれども執筆に傾いているのはこれはこれでなにより喜ばしいこと。

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ーJUNEー
その名前におののき、その存在に翻弄され、それでもなお、
わたしはあなたのことが知りたい。

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知らなかった。誰かに心底惚れるということがこんなにも世界から踏みはずれていくことだったなんて。終わりのないものに出会うということが、こんな風に踏み外していく見知らぬ自分をも受け入れ飲み込んでゆくことだったんて。
まるで夜の森みたいだ。
愛しあうことはもっとやわらかい、午後の紅茶のようなものだと、わたしは思っていたのだけれど。

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昨日一日悶々として、ようやくあたしの頭の中でJUNEが完全に再構築されました。
昨日、ヘルシンキですべきことの9割が終わった。

頭の中で全部の編集が終わって一本の映画ができたといってもいい。
あとは、頭の中でボタンを押して、流れ出す映像を怒濤のように書き落とすだけ。
もちろん油断はできないけど、ここまでこれたことを非常に喜ばしく思う。
書き落とすための言葉がいまどこにいても流星群のように落っこちてくるのでそれを拾わなくてはえらいことなんで、今日は街にでるのをあきらめて、溢れてくることばを必死にメモしている。

小説を書き出すまでにその輪郭をとらえなくてはいけません。仏像を彫る人が、何日も木の塊を眺めて、ディディールまで見えたときに一気に掘り出すように。
それをaccoは準備体操といい、わたしは普段「暗闇に目をこらす」と呼んでいます。
しかし、どこにいてもすぐその世界にDockできた2009年と違って、2011年は目をこらしてる最中に電気がついてしまうことがすごく多かったきがする。地震とかで日本がぐらぐらしていること、じぶんをとりまくしがらみやなんか。そしてわたしはわたしの小説をたくさん取り逃がした。ほぼ失敗だったと言ってもいい。
(これは物語になりえなかった小説のことです。物語のかたちになったものに失敗はありません。そもそも、物語に失敗などありません。地球と同じですから)

おとといフィンランドのサウナでaccoが言った準備体操について考えていて、ああ、こんなところまでこなくてはいけないほど、わたしから小説はほんとに遠ざかっていたんだなあって実感した。
でも作品がわたしをここに連れてきてくれた。
10年前にわたしの体の中に初めて降りてきた物語。JUNEがわたしをこの国に連れてきたのだ。そして物語の答えはすべてこの国にあった。
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おととい街に出たときその本屋で、わたしは一冊の写真絵集を見つけた。それはJUNEそのものといってよかった。JUNEのすべてがここにあると言ってもよかった。わたしは迷うことなくそれを買った。
なによりもフィンランドらしい買い物だったと思う。この本だけはぜったいに他の国で手に入れることはできない。

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マニアックすぎるこの物語をどうメジャーなもの、マニアックメジャーなものに仕上げるかが1番の課題だった。JUNEはわたしの心に寄り添いすぎているあまりにわたしが書くものは抽象的で感覚的な詩のようなものになってしまって、初めてこの世界に足を踏み入れる読者との間に温度差があってJUNEを伝導できない。
わたしがJUNEの世界に溺れすぎているし、重なりすぎているからだ。
そんなことを考えながらプールで泳いでいたとき、あるひとりの女の人がわたしの中に現れた。
まっとうな、とてもまっとうな女の人。あるいはまっとうだった、女の人。愛し合うことは午後の紅茶のようなものだと思って、実際そのように日々や恋や愛を重ねてきた人。

じぶんでもありJUNEもありじぶんの世界のすべてだったこの物語が、このひとりの女性から見えた「知らない世界」としてスタートを切ったとき、
この小説はほとんど成功に近づいた。 JUNEが主役を彼女にゆずったことで。
いや、主役はいつだってJUNEだ。
けれどもこの物語の主演は、その彼女がつとめる。

頭の中でばらばらになっていたちぎり絵は、なんまわりも大きいカンバスの中にコラージュとしてレイアウトされた。そして余った白いところに、いまからわたしは絵と色をいれていく。いや、もう頭の中で絵も色は入っている。そのイメージ通りに塗りこんでいくだけだ。その作業をいまから行う。

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