「マリアンヌと、いつか会うきみ」
すこしまえに「マリアンヌと、いつか会うきみ」という絵本を作りました。
ずっとずっと昔に「女の子とママと長ぐつと」というフォト絵本を、
母親とふたりの大切な友人のために限定3冊で作ったことがありました。
今回はあるひとりのひとのための絵本です。
なのでクレジットを「中島桃果子」ではなく「もかこ」にしてみました。
絵本な空気もでるしね。
とても贅沢な話なのですが、挿絵と扉絵を、
「夕日に帆をあげて、笑うは懐かしいあなた」の装画を描いてくれた、コイヌマユキさんに描きおろして頂きました。
売れっ子さんでとても忙しい中心よく引き受けてくださったコイヌマさんに感謝の気持ちをこめて、装画だけ公開させていただきます。
「女の子とママと長ぐつと」の時は、コイヌマさんの絵が描いてあるノートを買って、
その絵からイメージして物語を書きました。
今回は物語を読んで、コイヌマさんが絵を描いてくれました。
この3年、たくさんのひとに読んでもらうための本をプロの仕事として書き続けてきました。
ひさしぶりに誰かのためだけに物語を書き、文房具やで紙やらなにやらを選んで、本を作り、原点に返った気分です。もう何年も前、はキンコーズでほんの20部だけを刷って、それぞれに表紙をつけて、親しい友人に渡して読んでもらっていました。そのころぜんぶが手作りでした。
今年、年の瀬にこの本を作れたこと、とても幸せに思います。
文字のひとつひとつ、絵のひとつひとつ、紙の一枚一枚がとてもきらきらしていた。
それを作るあたしの手も、空色に染まったわたしの指も、とてもとても生きていた。
想いは溢れるから、紙の上に文字となってこぼれてくるんだった。
紙の上になにかをこぼすために胸を熱くするんではなくて。
大切なことをなにか思いだしたような気がします。
物語はやっぱり、誰かのために書くものなんだね。
ありがたくも、何千という単位で本を作ることができるようになったいまも。
それを読んでくれるひとりひとりのために。
「マリアンヌと、いつか会うきみ」が、きちんとそのたったひとりに正しく届いていますよう祈りをこめて。
そして出版される本に溢した想いが、それぞれに正しく伝わっていきますように。
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