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2011年6月17日 (金)

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もしここに、「王様の耳はロバの耳~」と叫べる穴があって、

道徳やモラルとか、いまこうすべきとか、人の幸せとか、正しい愛のありかたとか、そういうの全部無視して、思ったことだけを叫ぶことを許されるのなら、

僕はその穴に向かって、「君に会いたい」と叫びたい。

君のいない日々はどれだけ色と光を失って、

それだけ時計がよく働いてくれるのを待っているか。

君といるときはいつだって、どこまでも時計が居眠りをしてくれればいいと思っていたのに。

君のいない世界には色がない。感動もない。
そのかわり傷つくこともないけれど。

それでも僕は、君といるときの僕が、とても好きだった。

だからつい僕はこの雨の中で、
君に会えない日々のなか、きみのいないこの世界を生きるなら、

この雨に打たれて、僕のからだが蝕まれたってどうってことはないと思うんだ。
むしろ大歓迎だ。
だってこの世界に君と会えない以上の絶望はないわけだから。

こないだだってそう思ったんだ。

僕の鼓動が早まるなかで、
僕の命の火が消えてもおかしくない事態に直面しながら、
一瞬僕は、

君のいない世界に生きるくらいならもうここで終わりにしてくれ」と
神様に懇願してしまったんだ。

でも僕はすぐに思い直した。
僕を思う家族や友人や、かけがえのない人たち。
その存在を思うと、誰かひとりのために自分の命をけして投げ打ってはいけないと。

だから僕は穴が欲しいんだ。

そして叫びたいんだよ。

君のいない世界はぜつぼうそのものだ!」と。

君のいない世界には色も味も未来もないと。

今日さえもないと。

僕が笑って、笑う僕に君が目を細める。

そんな風に僕を見てくれたひとを、僕は生まれて初めてみた。
だから僕はあのときの君の表情をきっと死ぬまで忘れられない。
無邪気に笑う僕を、君はとてもまぶしそうに見ていた。
とても幸せそうに。
だから僕はすこしとまどっ
てしまったんだ。
君が5歳のこどもみたいな目をしたのを見たのも初めてだったし、
そもそもいままで、僕をそんな風な目で見てくれたひとはひとりもいなかったから。

僕が喜ぶこと、それをそんなにも喜んでくれた人を、僕は生まれてはじめて見たんだ。

生まれてはじめて知ったんだ。
何かを与えるのではなくて、
何かを与えてもらっているのに、
そのことに僕が幸せを感じることを喜んでくれる人がこの世にいることを。

だから僕はもいちど君のあの目をみたい。

おこがましいいいかただけど、

君がいるだけで、僕はいつだって笑えるから。
その僕の笑顔を見て、君ももういちど笑ってくれないか。

これは独り言。

雨音に消えていくひとりごと。

明日になったら僕は、

穴の中に土を入れて、

その大地の上に凛と立つよ。

まるで「王様の耳はロバの耳」だなんて、
叫んだ昨日がうそのように。

 


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