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2010年8月29日 (日)

吉本ばななではじめる。

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告白しますが、実は新しい小説、または物語というものを、6月から3ヶ月まったく書いていませんでした。終わった物語を手直しなんかして10月の新刊に備えたりはしてたけど、まったく、新しいお話を書いていませんでした。
それはスランプとはまたわけが違って、書けないのではなく書きたくない、わたしが、わたし以上以下にもなれない、じぶんのことでいっぱいで、登場人物の誰かになったり、その場所に行ったり、つまり物語の世界に飛び込むことをまったくしたくない、そんな感じで、なんか無防備に感情移入みたいなことが何に対してもできなくなっていたのだけど、なんか今夜、とても小説を書きたくて、書こうと思っています。それはわたしの軸が戻ってきて、軸はあるから、好きなところに遊びにいってもいいよみたいなことなんだと思う。

本すら読めないとき、わたしはもう吉本ばなな(松任谷でなく荒井時代みたいなことだね)または江國香織しか読まないのだけど、江國香織に出てくる女性はこれもう何年も前から言ってることですがあまりに自分と似通っているので=これは江國さん本人がわたしに言ってたことだからひとりよがりではないね=異世界に飛び込みたいときは吉本ばなな(よしもとばなな)に限る。

吉本ばななに出てくる、芯の強い、ひょうひょうとした中性的な主人公にいつも憧れがあります。あんなふうな女になりたいといつも思う。そしてけしてそうはなれないことを知っている。へんなはなしだけど。
「不倫と南米」という文庫の「電話」という話がとても好きなのだけど、他の短編もやっぱりよくって、気がついたら、おお、港区のせまい2DKがいつのまにかブエノスアイレス、「ああ、日差しが暑いな」なんてことをふと思って、ひさかたぶりに、物語のプールにざぶんと飛び込めている自分に出会えて涙がでるほどうれしい。

うれしいから、またきっと新しい話を書けるかな。
夕方にしこたま食材を買ったので、短編を書き終えたら、おいしいパスタを作って食べよう。じぶんを褒めてあげられるようなものが書けたら、パスタはきっととっても美味しいよね。

最後に、この本のなかからなんだかドキリとした文章を抜粋して、わたしは小説を書きます。

『おねえさんはその日から、なんとなく反対をやめて、しょっちゅう電話をしてくるようになった。あの瞬間を読み間違えなくてよかった、と私はいつも思う。人が心の奥の暗さをむきだしにしためったにない瞬間だった。目をそむけるのは簡単だが、そのまた奥には、赤子みたいなかわいいものが潜んでいる。私の滋養となる寂しい光が輝いている。 ープラタナスーより』

余談だけど、あたしと江國さんがこの文章を書いたなら(書けっこない言葉の羅列ですが)、寂しい光、は、さみしい光り、か、さみしいひかり、と表記するんじゃないかな。
「寂しい光」と言葉を置くところに、吉本ばななのひょうひょうとした強さを感じる。バンブーの木のような。挿絵もたくましくて素敵。

追記:少女時代から読んだ作品としての「吉本ばなな」「江國香織」という意味で、あえて敬称をつけていません。そうしてもちろん自分と江國さんを同等に扱うつもりもありません。うまくこの日記の意図が伝わりますよう…に。

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コメント

わたしもあの話をよむ度にその部分をどきりとしながら繰り返し読んでしまうよ

投稿: ちほ | 2010年9月 3日 (金) 22時06分

ちほへ
なんだかうまくいえないけど「どきり」とするよね。

投稿: もかこ | 2010年9月 6日 (月) 02時17分

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