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2009年7月10日 (金)

ワンダフルナイト①芝居編

Image384_2 7月7日(火)のことですけど。

この日、わたしの上半期の中で、BEST3位には入るくらい楽しい日だったかもしれない。

なんかEverything was so shineでした。

まず、夜7時から芝居を見ました。
大学時代からの友人で、演出家の田中麻衣子のひさびさのオリジナル演出です。
彼女はいわゆる、コツコツタイプで、
小さな劇場から、全部の演出を自分でこなして頭角を現してく小劇場タイプでなく、確実に演出家になりたい、という野心が根底にあるからだと思う、そしてキチンと芝居を丁寧に作りたいという気持ちがあるからだと思うのですが、長年、串田和美さんの演出助手をやってきました。串田さんは、わたしとちほが大騒ぎしている、上海バンスキングを上演した自由劇場の主宰であり、現在もっとも著名な演出家のひとりです。6月は渋谷のシアターコクーンで大竹しのぶさんと勘三郎さんと笹野高史さん、古田新太さん、秋山菜津子さん(書いててすごいラインナップ!)などが出演する「桜姫」の演出をされてました。

S196

S495 (←桜姫)

串田さんらしい、たくさんの民族音楽、大道芸っぽさ、遊び心、人間くささ、愛らしさ、みたいなのが凝縮した素敵な舞台でした。
笹野さんが素晴らしい!またトランペット吹いてくれたし。そしていわずとも大竹しのぶさんのエネルギーはすごい。勘三郎もかっこよかったし、大竹しのぶと相性がよかった。桜姫を見て、麻衣子の舞台を見ると、スタッフや出演者が串田カンパニーなのもあるが、串田さんのもつ奔放さや、楽器使いなどを、よく見てよく学んで、自分のものにした感がある。でも、串田ワールドのモノマネかというと、麻衣子が演出する芝居には、麻衣子らしい独特の「無垢なゆえの残忍さ」「毒っぽさ」が潜んでで、串田ワールドに潜む「男のずるさと純真」とは全然違う種類。

もともと松本での活動が多かった串田さんですが、おととし麻衣子が松本でドフトエフスキーの「罪と罰」をオリジナル演出(串田さんノータッチ)で上演したことがあり、はるばる松本までちほといきました。そして馬刺が好きになりました。

  で、ひさびさの麻衣子演出の芝居。なにをかくそうわたしは麻衣子が学生時代に主宰してた「やわらかいワニ」時代がらの麻衣子ファン。そうとう楽しみにしてました。

Image383 (ほら!当時のマッチとか今も持ってるの)

劇場はシアターグリーン。
照明は、モカティーナ夫人ではお馴染みの、はめちゃん、こと中島一。

そしてこの芝居。
もともとは「香水」という小説がもとになってて、映画「パヒューム」というのも作られているのらしいのですが、

これは、野田MAPのパイパーに続き、わたしの中の上半期演劇Best 2位です!!すばらしかった。
前置きをすると、田中麻衣子という演出家は、基本的に完璧主義でミスをゆるさない演出家、つまり、テクニカルなミスとか一切ない、スーパープロフェッショナルです。その観点からいくと、短い時間で集まって稽古したということで、ちょっとしたセリフの噛みや、…?という時間もありました(笑・鬼演出家麻衣子にしては非常にめずらしい!!)

が、しかし!!そんなことは徐々にどうでもよくなった。最後は完全にどうでもよくなった。
まず、色んな楽器を操る、音楽を担当、作曲、演奏、あと自ら「いろんな声・音」をその場で作った男の人、感嘆しました。音楽とか、曲とかいうのではなくて、音の集合体なんだよね。芝居と音が溶け合ってるの、すごい。そして、それにあわせて歌う女の人の声も素晴らしくて、「素人とか歌手志望とかいうレベルじゃないなこれはと思ってたのですが、先に謝るわ、世間知らずでごめんなさい。その女の人は、坂本美雨さんという音楽家で、坂本龍一と矢野顕子の娘さんでした。ちほに言われるまで気づかなかった。
でもね、音に関して言えば、とりしきってた彼、彼が一番素晴らしかったと思います。ヒューマンビートボックスといかいうレベルじゃない。民族音楽もつくれるし、楽器何種類ももちかえて演奏するし、その上ラップもできるんだもんね
串田流を存分に活かした、世界の色んな楽器の登場も素晴らしかった。

次に役者。小劇場を見に行って疲れるのは、役者が「オレオレ」なことです。みんな芝居における自分の役割を演じるというより、「あたしを見てっ」てなってたり、「俺は役者!あたしは女優!」みたいなPUSHがすごくて「そういうのいいよもう…」ってなるんだけど、
なんてみなさんフラット!なんて溶け合ってる!主人公の役者さんは、学生時代からあたしが大好きな先輩で、変わらぬ魅力を発揮してくれましたが、女優陣もまたすばらしかった。みんながたくさんの役をどんどん演じます、それはもうコロコロ、美しい町娘を演じたと思えば、歌い暴れたり、醜いばばになったり、みなさんの「潔さ」が逆にすがすがしく美しかったです。自分を良くみせようとしてるひとがひとりもいなかった。みんなが物語にはいりこんで、完全に登場人物だったんです。

そして田中麻衣子という演出家のすばらしさを再確認しました。
学生時代はそのやり方がお互い偏っていたため、数々の衝突もあったわたしたちですが、ここに来て、わたしは麻衣子と自分に、非常に似通った共通点を見つけました。

それは「五感にうったえる」という共通点です。芝居であれ小説であれ歌であれ、すべては、五感にうったえたいと思って作る、ということです。たとえば、音程の確かなリズムの確かなメロディ、ということより、よじれてこじれて、切なくて悲しいをどうにするかみたいな。
このパヒュームは、音響が単なる音響ということでなく、照明がただ照らすということでなく、演じるは、ただセリフを言うことでなく、すべてが溶け合って、五感に響いてくるような具合で、終わったとき、なんか胸が熱くなるような、そんな気分でした。
そしてパリにまた行きたくなりました。実はわたしは香水フェチなんですね。
香水のボトルとお酒のボトルにエロスを感じるのです。

話それましたが、丁寧に作るということ。
椎名林檎はそういう風に一曲一曲作ると「SONGS」で松尾スズキと話していましたし、
松尾スズキも後ろのパネルの小さなばかっぽい絵まで自分で書くといってましたが、そのような感じで、無駄に、なあなあに舞台上に存在しているものが何もなかったことにも感動しました。あと、こういう風なものが演劇として存在し続けていくとすれば、わたしも役者として、そう価値がないわけではないかもと思わせてもらいました。芝居というものに対しての希望もそこにあった。

このひとはいずれ(なんてあたしが言わなくてももう充分新進の演出家ですけど)必ず来ます。小劇場の場合じわじわ大きくなって、じわじわ知られてくるのですが、多分このひとは、いきなりパルコとか、いきなりトラムとか、いきなりコクーンとかの演出を任されてくことになると思います。その日をあたしも待ちわびているし、シアターグリーンは小さな劇場で、チケットも2000円と安かったですが、あそこまでクオリティの高い、素晴らしい舞台を見せてくれた麻衣子に拍手です。

そして彼女が友人であることを誇りに思います。

(ワンダフルナイト②酒編に続く…)

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